「アゲハ蝶」 つくしver by星香サマ

隣に眠る顔を見つめる。何時も他人に見せる、不機嫌そうな顔ではなく、無防備な、少年のような柔らかい寝顔。つくしだけが知る、類の顔。その頬に触れたくて手を伸ばし、それを止める。思い切るようにそっと起き出し、足音を立てないようバスルームへ向かう。シャワーを浴びる。温かいシャワーを浴びているというのに、心は冷えていくのが判る。バスルームから出て、鏡に映る自分の姿を見る。首筋、手足、胸元。類が触れていない処...
 09, 2016 20:00    0

「アゲハ蝶」 類ver by星香サマ

隣に横たわる気配が動く。そっと起き、足音を立てないように歩くのはいつものこと。眠る類を気遣っての行動なのだが、側にある温もりが離れた時点で目が覚めることを、彼女は知らない。聞こえて来る水音に、類が僅かに目を開ける。それも止みしばらくした後、出て来たつくしは、来た時と同じ姿をしていた。服は勿論、ストッキング、髪型、すべて同じ。何事も無かったかのように、情事の跡を消す。「…じゃあ…行くね」「……ん……」短い...
 09, 2016 12:00    0

夜の蝶は空を舞う つくしside

西門さんと付き合い始めてすぐに、両親から莫大な借金をしていると聞かされた。堅気では無い先からの催促は、私の元へと忍び寄って来た。あの人に迷惑は掛けられない。黙って去って、夜の世界に堕ちていった。私は幸せが似合わない女。愛した男とは結ばれない哀しい女。必ず不幸が舞い降り私を苦しめる。夜の世界は想像以上に酷くて、女の一人では渡れない冷たく暗い深海。身体を張って、生命を守って、闇の世界で歯を喰いしばって...
 08, 2016 20:08    3

夜の蝶は空を舞う 総二郎side

牧野つくしが行方不明になって数年。のらりくらりとかわしていた結婚が決まった。今更誰と結婚しようが、俺の人生に全く意味を持たない。何故、つくしは俺の元を去って行ったのか。俺は闇の世界に囚われた旅人となって、無限に彷徨い歩いていた。いつになったら終わりが見えてくるのだろうかと。ある夜、ある地方のイベントで広告代理店の男達に、繁華街に連れてこられた。「男から男へと渡り歩き、泣いて縋る男どもを氷の如く蹴散...
 08, 2016 08:08    7

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