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第1章 トンネル [16]

N.Y.side女は小さな箱に、傷だらけの携帯電話がしまわれているのを見つけた。傷だらけでボロボロのそれは、アンティークみたいで小さなおもちゃ様に軽い。電源入れると、無機質な画面が立ち上がった。彼らしいと思っていると、何通かメールが溜まっているのに気がついた。受信箱を開け、メールを見ても何が書いてあるかわからない。どうやら日本語のようだ。通話の履歴を見ると一つの電話番号とだけ、頻繁にやりとりされていた。履...
 20, 2016 12:00    1

第1章 トンネル [15]

つくしsideとりあえずあの場から消えたかった。 F3に気を使われれば使われるほど、苦しくて叫びたくなってしまった。どうやってアルバイト先であるファミレスまで行ったのか、自分でも分からない。働く事で、現実逃避をしているあたし。不安が、不安で、不安を呼び起こす。暗くて肌寒いトンネルを進んでいるかのように。解っている。逃げていい事なんて、何一つ起きない事を。でも今あたしに出来る事は何もない。ただこうやって働...
 17, 2016 12:00    3

第1章 トンネル [14]

総二郎side「牧野、お前に教えていなかった事がある。」普段よりも硬質な声音に、自分自身も驚きを隠せない。大きな瞳を不安気に揺らして、俺を見る牧野は今にも倒れそうなほど青い顔をしていた。こういう役回りは、俺が一番似合う。牧野にとって優しい類より、兄の様に穏やかなあきらよりも、ちゃらんぽらんな俺から引導渡されたほうが、きっとアホらしい話だったと後から思えるのだろうしな。「一つ目は、司のオヤジさんが倒れた...
 13, 2016 12:00    1

第1章 トンネル [13]

総二郎side先月末から牧野は何気にテンションが高かった。昼飯時に迎えに行くと前まではあんたたちがくると教室は大変だから、来なくていいからと文句言っていたのに、こないだは「遅かったね~。」などとニヤけやがる。茶の稽古を施しいているときも、どっかしらが浮き足立っていて、なにかいいことがあったには違いねえが、「な~んにもないよ。」というだけ。そんな牧野の変化は類とあきらにもすぐわかり、何があったのかを牧野...
 10, 2016 12:00    1

第1章 トンネル [12]

つくしside最近、あまり眠れない日々が続いている。寝てもかなりの頻度で、トンネルの夢を見てしまう。嫌な汗をかいて飛び起きてしまうから、必然的に寝ないようにと、深夜までテレビを点けている。電気代、勿体ないなぁ〜。毎回、そう思う。それでも、部屋が暗いのが嫌だし、トンネルの夢を見ることのほうが怖かった。時計を見ると、夜中の3時を過ぎていた。眠れないなとベッドの中でもぞもぞしていると、空気を切り裂くように携...
 06, 2016 12:00    1

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