第3章 林檎[15] 
つくしside




年が明けてからはしばらくはバイト続けて、
バタバタした毎日を過ごしていた。
そんなバイト三昧もしばらくはお預け。
3月上旬から特待生維持出来るか、
運命の試験が開始される。

レポートなどもほとんど仕上げたとはいえ、
テスト対策に図書館で試験勉強したいところ。
なのにこんな時に限って、図書館は春の大改修中。
館内の半分が使えなくなってしまった。
さすがの英徳学園大学の学生も
この進級時期だけは図書館内で勉強をするらしく、
いつもの半分くらいしか席がないところに
ビッシリと学生達が勉強していた。
そんな中、空いてる席があるか館内を右往左往していると、
花沢類に「牧野、見つけた♪」となんだんかんだで、
あんなに避け続けていたラウンジに連れてこられてしまった。



久々にラウンジに入ってみると、
静かでとても広くて掃除が行き届いていた。
この時期の図書館は朝から場所取り確保されて大変だから
ここで勉強した方がいいと類は案内してくれたのだと言う。
確かにラウンジは決まった人しか入れないよう、
セキュリティ万全だから席の確保はしなくていいのは助かる。
時間を気にしないで、勉強に専念出来る。
頑張る必要がある身とすれば非常にありがたいんだけど、
ラウンジには行かないとF3に言い切った手前、
いくら試験勉強とはいえどご都合主義すぎる自分に
罪悪感を感じてしまう。

「牧野、またなんか心配しているんでしょ。
大丈夫だって。ここは牧野の居場所でもあるんだから。
ほら、セキュリティキー。
今迄俺たちの誰かが迎えに来ていたから
今更入りにくかったとかもしれないけど
これからは自由に出入りしてよ。
だから遠慮しちゃ駄目だからね。」
「ハハハ・・・。花沢類・・・、ありがとう。」
「どういたしまして。」
ありがたい・・・んだよね?
う~ん、背に腹はかえられぬって言うし・・・。
なんか、自分的には筋が通ってない気もするけれど、
試験勉強期間だけでも出入りさせてもらうか・・・。


「おっ、牧野戻って来たか。おかえり。」
数分遅れてやってきた美作さんは
手慣れた仕草で私がコーヒー、類がサイダー、
そして自分用にとアールグレイを頼んだ。
「やっと戻って来たな?相変わらず強情なやつだな。
もっと早くもどってきてもよかったんだぞ?
ま、そんなところも牧野らしいけどな。」
「ちょっとあきら。
せっかく牧野と二人っきりだったんだからさ、
気を使って入って来ないでよ。」
「おっ、そりゃ悪かったな?
これで仲良く三人っきりってやつだな。」
ぶ~っと膨れる類に、美作さんが揶揄いはじめた。

楽しそうな二人のかけあいに笑いながらも、
目が扉の方にいってしまう。
明るく陽気に安心する声で「よっ!」って、
早く入って来ないかな・・・。
偶然にもドアが開いたので、
やっと来たと思って顔をドアのほうに向けてみた。
・・・・。
なあんだ・・・。
オーダーしたコーヒーを届けにきたの店員さんかぁ・・・。

「・・・牧野。総二郎はまだ来ないよ?
ゼミの発表会が近いから、資料作りの最中って言ってた。」
「えっ?あ・・・あ、うん。そうだよね、忙しいもんね。
そりゃ来れないよね。残念!」
そっか・・・。
試験もあるしゼミの発表もあるしで、西門さんも大変だ。
そっかぁ・・・。
残念だな~、会いたかったのに。

ふと視線を感じて見上げると、
微妙な顔した類と美作さんが顔を見合わせたのち、
私を見た。
なんかラウンジに気まずい空気が流れたような・・・。

いち早くこの空気を打破したのは美作さんだった。
何もなかったかのように私の前に頼んだコーヒーを置いてくれる。

今の何だったんだろう?
私、何か変なこと言った?
・・・変なの~。

そんなことよりも、久々に高級コーヒーを堪能させてもうおっと。
そう不思議に思いながらもコーヒーを口にしてみた。
F3が独自に仕入れたという、超高級珈琲豆。
久しぶりだぁ~。
・・・・。
・・・、あれ?
このコーヒ―、味・・・変わったのかな?
前までは物凄くおいしく感じたのに・・・。

「ね、美作さん・・・。このコーヒーって、豆を変えた?」
「・・・このコーヒーか?どうしたなんか違うか?
いつもの豆のはずだけどな。」
「そうなんだ・・・。あ!そっか!
そうだそうだ!わかったよ~~。
この間から西門さんもバイト先のファミレスに
来るようになったの知ってるでしょ?」
「・・・・・・え?・・・ああ、総二郎からそう聞いたな。」
「すっごいんだよ、西門さん。
コーヒーの淹れ方を指南してくれてね、
そのコーヒーが本当においしいの!
このコーヒーよりもおいしいかもよ?」

類と美馬さんがまた顔を合わせる。

「へぇ・・・。そんなにおいしいの?総二郎が教えたコーヒーって。」
「うん!びっくりするほど美味しいから、
花沢類も今度きたら是非飲んでよ。
本当にすごいよ!
アッという間にファミレスNO.1のコーヒーなんて
言われるようにしちゃったんだから!」


この後、暫くの間は変な空気が流れていた。
微妙なムードが続いてしまった気がするので、
コーヒーの美味しさや淹れる方などを力説しまくった。
苦いから飲みたくないと駄々こねていた類や、
コーヒーは遠慮すると断り続けた美作さんを、
次回店に来た際に注文するという約束を取り付けることに成功。
きっとふたりとも疲れてるんだよね。
西門さんが伝授してくれた美味しいコーヒーを飲めば、
きっと二人とも心も身体も温まるだろう。












こんにちは。
河杜です


3月と4月は贈り物のお話をいっぱい掲載できたので、
久々に活気があったな~と思います。
この週からしばらくは連載オンリーになりそうです。

あいかわらずの自転車操業で書いている河杜ですが、
1週間に1回、掲載できたらな~と思っています。
頑張ります

水曜日か日曜日に掲載する予定です。

よろしくお願いいたします




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Comment 1

くらら サマ


わ~!
こんな辺鄙なサイトに来ていただいて
ありがとうございます。
とても嬉しいです!
私も愛読させていただいております。
今後ともよろしくお願い致します♡

2017/04/17(Mon) 12:24

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