FC2ブログ
第3章 林檎[20] 

つくしside





ラウンジに戻ると、西門さんはすでにラウンジに入っていた。
寝ている花沢類の側で、美作さんと和やかに話している姿をみると、
やっと三人揃った光景に安心感を覚えた。
西門さんがラウンジにいると、
いつもより部屋が明るく感じるから不思議。
この人の作り出す雰囲気は、私に元気を与えてくれる。

「よっ!特待生。何、ボ~と立っているんだよ?
勉強は捗っているか?俺に会えなくて寂しかっただろ?」
いつもの様に揶揄いながらも、
真っ先に西門さんは私に声をかけてくれた。
話し掛けられたのがとっても嬉しくて、
元気だったよと声を出そうとした瞬間、
ふと、さっき見た光景を脳裏に映し出してしまった。
急に苦しくてなってきて、色んな感情が入り混じりはじめて、
どんどん黒い塊となっていくのがわかる。
このまま西門さんの近くにいたら、
このモヤモヤした感情をぶつけてしまいそうだった。

「別に?寂しくなんてなかったけど?」
私が出した声色はいつも以上にキツイ声になっていたようで、
西門さんはもちろん、それまで西門さんと一緒に喋って美作さんも驚いた顔をしていた。
「・・ハハッ。相変わらずつれないな~、つくしちゃんは。
こんないい男にそんな態度するのは、やっぱお前しかいねーぞ?」
驚いた顔を瞬時に笑い顔に変えて、
揶揄い半分意地悪半分にした後、西門さんはにやりとした。

はああ~、イラっとする。
さっきの綺麗な人にはあんな優しい笑顔だったのに、
なんで私にはいつもいつも揶揄って意地悪ばかりで・・・・・・・。
・・・・・ん?
・・・って、なんで私、こんなにイライラしているんだろう?
そう・・・そうだよ、なんかいつもの私らしくない。
西門さんが私を揶揄うなんて今更だよ?
鉄パン勤労処女なんて、凄いアダ名で呼ぶし!
なのに、なんでこんなにイライラするの?
なんでこんなに悲しくなったりするの・・・?
落ち着け、つくし。落ち着くのよ。

「・・・だな。・・って、おい牧野?聞こえているのか?」
美作さんに声を掛けられてはっと意識を戻した。
「えっ、あ・・・、あ、アハハハ~。えっと~・・・
聞いて・・・ませんでした。ご、ごめんなさい!」
「牧野。大丈夫?実は調子悪いかったんじゃない?
自宅まで送って行こうか?」
それまで寝ていたはずの花沢類が、私の近くに座っていた。
花沢類は今にも私の手を取って、
ラウンジから連れ出しそうな迫力を感じ取れた。
美作さんもちょっと険しい顔をしている。
「ううん、心配してくれてありがとう花沢類。
本当に大丈夫だよ?美作さん。」
まずい・・・。二人ともまだ訝しんでいる。
私が変なこと考えちゃったから。
ほら、いつもの元気な牧野つくしでないと!
えっと、えっと・・・。
「ら・・・来週からはじまる特待生の試験が、ふ、不安・・・、そう!不安なのよ。
そうだ、西門さん、お願いがあるの!
来週の試験、日本文学,日本史,世界史があるんだ。
最近図書館に行ってないから、ちょっと不安なの。
勉強・・・、見てもらえるかな?」

そうよ、勉強を教えてもらわなくっちゃ。
文系は西門さんが適任だし?
別にそれだけだしね?
特待生進学がかかった勉強に不安なだけ!
ナーバスになりがちなのよ、こういうのは。
だからモヤモヤしちゃうのよ!
そうよ、それだけよ。
それだけ・・・・・なはず・・・。

「牧野なら成績優秀なんだからさ、大丈夫だと思うけどね?」
「そうだな。別に総二郎じゃなくても勉強なんてみてやれるしな?」
類と美作さんがとても心配してくれる中、
西門さんが数秒黙った後、ふぅってため息をついた。
「・・・俺がみてやる。ほら!そっちのテーブルにサッサと行け。」
「う、うん!ありがとう、西門さん。」
「礼は満点とってからな。さあ始めるぞ。」

ローテーブルから、もうひとつのテーブルに移って西門さんと勉強を始めた。
勉強は高校時代から西門さんからも教えてもらっていたから
それ自体は別におかしいことでもなんともないことだ。
だけど、さっきまであんな気持ちになってしまっていたせいか、
改めて二人だけで勉強することに緊張を覚えたしまった。
いざ、勉強をはじめると西門さんの動作ひとつひとつにドキンとして、
その仕草になかなか勉強に集中できなくなっていて・・・。

西門さんの細くて綺麗な指がテキストをめくる。
低くて艶のある声が、私の耳をくすぐる。
こうやって一緒にいることができるだけで嬉しい。
さっきまでの感情はなんだったんだろうと思う。
西門さんの美しい横顔を盗みしながら、
わたしは胸の中が暖かくなるのを感じていた・・・。






すみません
土日のドタバタでいつものUP時間帯をセットし忘れてました




ランキングに参加しました♪


↑↓もしよろしければポチしてください♪

ブログランキング・にほんブログ村へ




関連記事
スポンサーサイト

Comment 1

河杜 花

Re: タイトルなし

plumeriaサマ


私も個人授業受けたい〜!
美しいお顔をずっと見ていたい❤︎
勉強どころじゃないっす!

ん?
む、無理無理w
亀更新でいかせていただきますよん♪

2017/05/29(Mon) 14:23

Edit | Reply | 

What's new?