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Sei unica. ③




『Sei unica. ③』






つくしは総二郎と一旦離れ、別室で総二郎の内弟子から
綺麗な字で書かれた手紙を受け取った。
その手紙には総二郎の宿泊先のホテルに来てほしいと書かれてあった。

あの茶会で総二郎に見つかってからここに来るまでの間、
たっぷりと時間はあった。
ならば逃げることだってできたはずだ。
それなのに、なぜか律儀にもつくしはこのホテルに向かっている。
私は何をしたいのだろう・・・。
会いたくない気持ちと会いたい気持ちの狭間に揺れているのに、
身体は引き寄せられるように動いている。
つくしは自分でもどうしたいのか分からなくなっていた。

総二郎の宿泊している部屋の前まで来てドアを叩くと、
総二郎がすっとドアを開け、目で部屋へ入ることを促された。
ためらうことなく、ドアのそばに立つ総二郎の部屋に入った瞬間、
つくしは背後から総二郎に包み込まれた。
つくしの肩に総二郎は頭を乗せ、小さな声で「良かった。」と、
まるで迷子の子猫を見つけたかのような優しい声で囁いた。
背中から感じる総二郎の存在は温かく、振りほどくどころか
つくしは頑なだった自分の心がゆっくりと融けていくのを感じた。

「なんで・・・なんで私を責めないの・・・?
婚約までして黙って逃げた3年間、何をしていたんだって。
音信不通な酷い女で、恩知らずの恥知らずだと女だって。
私を叩いて、罵って・・・・放り出されて当然・・・だよ。
なのに、なぜ?なぜなの・・・?
・・・責めてよ。怒鳴ってよ。嫌いって言ってよ!」
つくづくこんな大事な時に意地っ張りなってしまう自分の性格を恨んだ。
なんで素直になれないのだろうか。
せっかく逢えたと言うのに。
本当は・・・、本当は・・・・・・・。

「ははっ・・・その天邪鬼ぶり、変わってねぇな・・・。
今のつくしの台詞・・・、逢いたくて逢いたくてたまらなかったって
俺にはそう聞こえたぜ?そうなんだろ?」
自信たっぷりな言葉とは裏腹に、総二郎は震えていた。
やっと捕まえた愛しい女が自分の腕を振り払い、
他の男の元に走っていくのではないか。
そもそも自分に会いたくなんかないじゃないか・・・と。
総二郎はつくしの肩に顎を乗せたまま、動けないでいた。

「俺さ・・・・、この3年ですっかりダメ人間になっちまった。
つくしがいないと、満足にいく茶をたてられねぇんだ。
次期家元として大丈夫なのかと、囁かれたこともあった。
そんな時、つくしを想う事で茶をたてると、全然違う美味さにかわったんだ。
本当に違うんだよ、茶が。
・・・今日もさ、目の前につくしが居るつもりで、茶をたてた。
今日だけじゃねぇ。
朝も、昼も、夜も・・・。ずっと、ずっとだ・・・。
お前を感じられないと、情けねぇけど、ダメなんだ・・・。
・・・・だから、戻ってこいよ・・・。
戻って来てくれ・・・。
何も要らない。何も。
お前しかいらねぇよ・・・。」

総二郎の吐息がつくしの肩に熱を与え、融けた想いが全身に愛となり駆け巡る。
つくしは身体を反転させ、総二郎の胸に頬を預けた。
「わ・・・私のほうこそ・・・ごめんなさい。
勝手にいなくなって・・・ごめんなさい。
総二郎が頑張ってくれてたのを知っていたのに
あの時は、あの時は・・・。」
「もう、言うな。」

涙でぐちゃぐちゃになったつくしの頬をそっと撫で、
総二郎はつくしの気持ちを確かめるかのように
おでこ、鼻、目、そして唇にキスをした。
甘くて深いキスはつくしが一番欲しかったものだった。
つくしを抱き上げ、総二郎はベットルームへ入った。
「つくし・・愛している。愛している・・・。ずっと、そばにいてくれ・・・。」
堅くなっていた心のわだかまりを、総二郎は壊さぬよう脱がしていく。
白い肌に優しく手を這わせ、甘い息遣いと刺激を刻む。
つくしは全身を震わせて快楽へと誘われていった。

深く、強く、二人はつながっていく。
もう、二度と離れないように、楔を強く打っていく。
ずっとこうやって重ねあっていこう。
あなたとともに未来を誓って・・・。





fin






久々にSSを書きました。

本当は当ブログ1周年でお披露目しようとしたのですが
早々と挫折してしまいまして、結果的に1ヶ月半も熟成させちゃいました。

タイトルのSei unica.はイタリア語で「君しかいない」です。
プロポーズの言葉の一つなんですが、ネイティブの人が使っているようです。
個人的な印象として必死感のある台詞かなと。

最初はつくしをかなりの悪女にして、
すがる総二郎を蹴飛ばすような悲恋にするつもりだったんです。
が・・・、あの総二郎が女にすがるかと思い直して、書き直してみたら
なぜか最後は甘甘路線に・・・!?
1ヶ月熟成させると、旨みがでてくるからかしら?!
本当はRで締めて、お話を終わらせるつもりだったのですが
力尽きてしまいました・・・

次にSS書くときはRをみっちり書きたいと思います



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2017/07/18(Tue) 14:58

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