友達以上彼女未満 総二郎side⑩
牧野が俺の彼女だと自覚してくれたのはいい。
ただ、こいつは肝心要のことを言わない。

最近西門の後援会の一員となった高級リゾート会社が手掛ける、温泉付きのコテージに牧野を連れて行った。コテージに入ると、牧野の手首を掴んで玄関の壁に押し付けて、腕と腕の間に閉じ込めた。
もう、限界だと思った。

「お前、まだなんとも感じねぇのかよ・・・。
どうしてこうなっているのか。どうして俺に連れ出されたのか・・・。
俺はただ、お前の口から聞きたいだけだ。
お前は俺に肝心な事を言ってねぇからな。
これでもさっき、猶予与えたけど?」

ジリジリと顔を茹で寄せていく。牧野の態度を見れば一目瞭然だけど、 言葉が欲しい。
コイツの口から言葉が欲しい。俺の唇と重なる寸前まで近寄ると、それまで必死に目を合わせないようにしていた牧野は、観念したのか、ここに来てから漸く俺と視線をハッキリ合わせた。

「・・・・・・き。」
「何?聞こえねぇ。」
「・・・っ!す、好き!どうしようもないくらい、好きだよ!」
好きな女から好きだと言われることが
こんなにも嬉しいなんて知らなかった。
「・・・くくっ。よくできました。」

静かに唇と唇を重ねた。初めてのキス。
甘い吐息に誘われるように、深いキスへと誘う。舌と舌が絡み合い、牧野甘い吐息が俺の理性を奪う。
好きな女とのキスは、こんなにも甘くて美味いものなのか。ずっとずっとキスを続けていたくなって、夢中で貪った。
経験の少ない牧野はキスだけで、すでにガクガクと足が覚束なくなっていた。俺にしな垂れるような態勢になって、まともに立てる状態ではなさそうだ。

牧野の全てを俺のものにしたい。

ふわっと牧野を抱き上げ、ベッドに向かった。
そして、俺と牧野はひとつになり、本当の『彼女』となった・・・。









「はっ、はっ、はじめましてっ。
牧野つくしと、申しっ、申しますぅっ!」

俺と牧野が付き合うようになったということを早速聞き付けた家元夫人が、牧野を屋敷に連れて来るようにと言ってきた。まだ早い気もしたが、縁談のこともあったし、牧野の事を少しでもわかってもらいたい一心で、躊躇していた牧野を半分無理矢理連れてきたのだ。

案の定、カチカチに凝り固まっている牧野はここに来た時点でアップアップのようで、体を真っ赤にさせている。
「ハハハ。牧野さん。そんなに緊張をなさらないで。本日はね、こちらに来ていただいたのは家元してではなく、総二郎の父親としてお話をしたくてお呼びしたのですよ。」
「家元・・・。」
家元が?
父親として?
怪訝な顔をした俺の顔をみて、家元と家元夫人は顔を見合わせて笑った。
「牧野さんが総二郎から稽古を受けるようになってから、総二郎の茶が目に見えて変わっていったのをお分かりでしたか?」
「いえ・・・。もともと、西門さんのお茶はとても温かいお茶でしたので・・・。」
再び家元と家元夫人が顔を見合わせると、気持ち悪いくらい笑い合っている。
なんだよ、この夫婦。
いつの間にかこんなに仲が良くなったのかよ?
「総二郎のお茶は・・・形は美しかったしお茶の味もそこそこのものでしたが、中身がない、心を惹きつけることがなかったお茶でした。
でも、3年前、牧野さんがお稽古にくるようになったときから、明らかに総二郎のお茶は変わった。真心を込めるようになり、もてなすだけではなく、思いやりを感じられるお茶に・・・。
そして、弟子や使用人たちにも明るく振る舞っていただけるあなたは、西門で必要な存在となっています。
貴女のおかげだと思います。こんな息子でよければ、是非、お付き合いお願い致します。」
二人して牧野に頭を下げる姿に驚いて、俺の方がぽかんとしてしまった。



牧野が席をはずしたのを見計らって、気になっていたあの縁談の話を確認した。
「あの、家元・・・。あの縁談のことですが、牧野さんとお付き合いをされることになったことで、なかったことにして良いのですよね?」
すると家元は首をすくめて、意地悪そうに笑った。
「もうすでに、お断りの連絡をしていているぞ。」
「はあ?!断っているって・・・!渋沢真璃愛は、もう決まったも同然と・・・。」
「ははは。安心しなさい。お前の決意はわかっていたから、半年前にはきちんと渋沢議員にお断りしていたのだよ。真璃愛さんにどう話していたか知らないが、説得できてなかったのは渋沢の問題だろう。あちらで解決してもらうしかない・・・。
それよりも、総二郎。意外と牧野さんをおとすのに時間かかったな?お前は本当にプレイボーイだったのか?母さんといつ牧野さんを連れて来るかで賭けていたのに、負けてしまったじゃないか。」
「・・・賭け?!そんなことしていたのかよ?!」
「え~~~なになに?西門さ~ん。」
「い、いやなんでもない。なんでもない。」
「え~!西門さんってケチ~!」
「はあ?!ケチだと?!初めて言われたぞっ!」
「まあ!総二郎さんはケチでしたのねぇ。知りませんでしたわ。」
「ははは!総二郎をやり込められるのは牧野さんしかだけかもしれんなぁ。」
やり込められるって・・・なんだよ、このアウェイ感!めっちゃ、俺をダシに三人結束してやがるんだけど?!


西門邸に来て僅かの時間で、家元夫妻を味方につけてしまう人たらしの牧野。晴れて家元夫妻公認の関係となると、娘のいない家元夫人は蝶よ花よと牧野を可愛がり、本当の親子みたいに仲良くなった。稽古の後は夕飯まで食べるようになり、週末は家族みんなで食事するという習慣がいつの間にかでき、みんなが競って牧野を囲むようになった。
俺の縁談話がきっかけだなんてなんかダサいけど、いつか笑い話と言えるようになるまで、俺たちの関係をもっともっと深めていこうぜ。




FIN






CLAP
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Comment 4

河杜 花

Re: タイトルなし

plumeria様

ほほほ♥
おもいきりましたよw
やはり書いたほうがよい?
う~ん、頑張るかな♪



2017/12/16(Sat) 02:10

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河杜 花

Re: タイトルなし

まりぽん様

うふ♥ヘタレ総二郎、河杜は好物なんです。
可愛いい総二郎になってしまいましたが
こんな事もたまにはあるかとw
つくしちゃんとラブラブになったので
文句は言ってこないはず?!




2017/12/16(Sat) 02:17

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河杜 花

Re: タイトルなし

さとぴょんさん様

はい、すっとばしました♥
いや~総二郎のR、きっとねちこいですよw


実はこのお話、まだまだ余談が?!
どうなるかはお楽しみにしていただけますと嬉しいです♪
そのうちお知らせしますね~!

2017/12/16(Sat) 02:29

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河杜 花

Re: タイトルなし

さとぴょん 様


まあ♡

今すぐではないかもしれません。
時間かかるかもしれませんが
お待ちくださいね~♡
ネタ集めに走りますw

2017/12/18(Mon) 17:09

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