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2018 つくしB.D.  



西門総二郎はかなりご機嫌ナナメだ。

それもそのはず。
今日は総二郎の愛しの女性、西門つくしの誕生日。
家元らの許可を得て初釜前で修羅場の如き大忙しの年末を1泊2日、
早朝からつくしと香港へ行くことになっていたのだ。
予約が取れないお洒落レストランMott32でランチ、
その後は新進気鋭画家の個展とショッピング、
そして夜はペニンシュラで濃厚な夜…を過ごす予定だった。


それなのに!

外国から要人が突然来日。
仕事終わったらさっさと本国へ帰ればいいのに、なぜか日本文化を味わいたい!など抜かしたそうで、
日本政府からの要請で急遽西門に白羽の矢が立てられたのだ。
初釜の準備で目が回るほど忙しい家元が要人の世話などできるわけもなく、
総二郎が要人のおもてなし担当なってしまったのだ。

『総二郎さん、ごめんなさい。
日本政府高官の方が家元が無理ならば、どうしても若宗匠にと・・・。』
滅多に弱味をみせない家元夫人に泣きつかれてしまい、断ることなんかできなかったのだ。
「畜生・・・・。つくしとの甘い夜が・・・・。
なんであんなクソ狸ジジイたちのために、茶をたててやんなきゃいけねぇんだよ!!
隙あらばと、あの三人組がつくしを狙っていっているっつーのに!
俺とつくしを邪魔するジジイどもめ。
そのへんのコンビニで、ペットボトルの茶でも飲みやがれってんだ!!」


車中、朝一番でつくしに連絡できたが、
『そっかぁ・・・・。
・・・うん、私は大丈夫だよ?
総しかできないお仕事だもの。頑張ってきてね!』と、
つくしは健気に送り出してくれたのだ。



テンションだだ下がりまくりの総二郎のスマホに、類からピョロ~ンとLINEが届いた。
仕事中はスマホを目に届く範囲に置いたりしないが、
移動の為にと使用人が持って来ていた総二郎の荷物から通知音が鳴ったのだ。
もしかしてつくしではないか……。と、スマホを手にしようとした瞬間、とっても嫌な予感がした。
でたらきっとロクなこととならないに違いない。
でも、このササグレだった心につくしは癒しであり、必要不可欠。
願わくば最愛のつくしからの通知音であってくれ…。
つくしからのLINEであるのを確認して、緩む頬を引き締めながはタップした。
すると、やはり嫌な予感は当たっていた。
タップすると、幼馴染三人組とともにドレスアップされたつくしが映った動画が送られてきたのだった。
しかも嫌味なことに、外国人要人専用のスイートルームにいるらしい。

嫉妬メラメラ&怒り心頭で動画をタップすると
『総二郎、牧野の誕生日だっていうのに仕事なんだって?ありえないよ?』
『俺様なら牧野を第一優先するな。っていうか、日本政府なんてクソ喰らえじゃねぇか?
恋人の誕生日を選ぶだろ、フツー。』
『まあ、ああ見えて仕事に関して総二郎は真面目だからな。
だからアイツの分まで、牧野をもてなししようぜ?』
『…ってことで、総二郎、安心してよね!』
『総!私は…』
プツ。
偶然かそれとも計算か。
つくしが話す前に動画は見事に終わっていた。

ワナワナと震える総二郎に、決死の覚悟と言わんばかりに使用人が声かけるタイミングを狙っていた。
「総…総二郎様、皆さまがお待ち…。」
「……もてなせばいいんだろ?くそっ!」
スマホを豪速球なみに使用人に投げつけてみたが、
イライラは収まるどころかヒートアップするばかり。
茶室に向かう総二郎のオーラは捻りに捻って捻りまくって、今すぐにでも爆発しそうだ。

だが、襖に手をかけて凛とした部屋の空気に触れると、総二郎を纏うオーラが一変した。
先程までの負のエネルギーが清廉とされ無となった総二郎は、
茶人西門総二郎として日本文化を体現したそのものとなったのだ。
日本文化を余すことなく堪能した要人は、総二郎の茶にいたく感動したらしい。
その要人が帰国した後、すぐさま西門を後援することにしたとか。


くたくたになりながらも、総二郎は仕事を終えた。急いでスマホを取ると、類から再びLINEが届いていた。
『牧野が酔っぱらって寝ちゃったよ。
牧野の寝顔って、めちゃくちゃ可愛いね。』
先ほどのやり取りを、思い出す。
幼馴染たちにたっぷりともてなされ、飲めない酒をのんだりしたに違いない。
『…で、総二郎にお迎えにきて欲しいんだけど。
早くしないと、俺が牧野を連れて帰るよ。
そうしたら二度と総二郎の元には戻さないけどね~。』

やはり類は油断ならない。
あの男はつくしをこれっぽっちも諦めてなんかないようだ。
司とあきらだってそうだ。
奪うつもりはないかもしれないが、今回みたいに自分の誕生日に仕事をいれてしまう男より、
自分のほうが相応しいと思っているはずだ。

今までの自分なら、こんなに一人の女を心配することなんてなかった。
総二郎にとって、女はガラスの花瓶に飾られるだけの花。
綺麗に飾って愛でて、飽きたころに次の花を飾って楽しむ。
ただそれだけだった。

でも、いつの間に心を惹かれたのは、自身を雑草と呼ぶつくしだった。
野の花の如く、雨風にひとり耐え、それに文句いうことなく凛とした姿。
その姿はどんな花よりも美しく気高い・・・。


総二郎はいつも以上に支度を早く終え、メープルホテルへと向かった。
酔っぱらっているつくしが、自分以外の男に介抱されるのが許せない。
他の男に触られるのさえ許せない。
可愛いつくしの寝顔をこれ以上みせたくない。
猛スピードで西門の車を飛ばし、メープルのスイートルームへ直行した。
『指一本でもつくしに触るな。
もしほんの少しでも触りでもしたら、歯の2.3本無くなるものと思え!』

メープルについてスイートルームに着く。
荒めにドアを叩くと、中からつくしの声が聞こえた。
どうやらつくしだけが部屋にいるらしく、しかも意識がはっきりしていた。総二郎はつくしが起きていた事に一安心をした。
「…総?」
柔らかな声とともにドアが開いた。
「お帰りなさい!」
出てきたつくしの格好を見て、総二郎は驚いた。
薄いベージュ色の最高級パシュミナの膝丈ワンピース。
細身の身体にぴったりして、どこかなまめかしい。
髪の毛は綺麗に編み込みされて、ほつれ毛がチラリと降りたアップヘアだ。
耳にはオフホワイトのバロックパールピアス。
胸元に同じバロックパールのロングネックレス。
足元はイタリア製の革で作られた焦げ茶色のロングブーツ。
どれもこれも総二郎がつくしと香港に行くため、
総二郎が用意していた物ばかりだった。

「…これ、どうしたんだ?」
「あ、これ?
総二郎をびっくりさせようって、総のお気に入りの店から類たちが取り寄せていたみたいでね。
総が帰って来るのを見計らって、ヘアスタイルやお化粧とか、
全てプロが来てやってくれたの。
きっと総二郎が見たかった姿だろうからって。
これ…全て総が私の為に、見立ててくれたんでしょ?
ありがとう。」

やられた!と、素直に総二郎は思った。
だてに幼なじみたちとは子供の頃からの付き合いじゃない。
自分の考えていることなんてお見通しだったわけだ。
あいつらに嫉妬ばかりして、どんだけ卑屈になっていたのやら…。

「今日はお前の誕生日だったのに、ごめんな…。」
「そんなことないよ!」
「いや、そんなことあるよ。
あいつらがこんなふうに、つくしを祝ってなきゃ、
お前をひとりにさせて寂しい思いをさせていたかもしんねぇし…。
…あいつらにお礼をしなきゃな。」
つくしの手を取り、自分の胸元に引き寄せた。
「お誕生日、おめでとう。」
ゆっくりと総二郎はドアを閉めると、総二郎はふんわりとつくしを抱きしめた。
償いとばかりに甘いキスをピンク色の可愛い唇に落とした。
二人は会えない時間を縫い合わせるかのように、啄むような甘いキスを繰り返し、
ぬくもり溢れた部屋へと消えていったのだった・・・。



Fin











河杜です。
今さらながらですが、
明けましておめでとうございます。

2019年の初アップはSSとなりました。
しかもそのお初は昨年アップし損ねた、つくしのB.D.。
遅いよっ!一か月も経ったよ 

2018年の4月からリアル仕事が忙しくなり、
なかなかお話を書く時間がとれない状態です。
なんとしても2018年のつくしちゃんだけは書きたいと思って着手しましたが、
年末年始と書き終わることができず、最近漸く書き終わったばかりです。

それなのにタイトルが決まらないという・・・
そのうち勝手にきまっているかもです

今年も早速多忙で、連載も書けない状態なのですが、
少しでも前に進めるれように頑張りたいです



こんな感じで活動もままならない状態ですが、
本年も宜しくお願い致します~!!



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