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第2章 砂[24] 
総二郎side


長い海岸線にはサーフィンを楽しむ人々と、
夏を惜しむ人々の影が砂浜に伸びていた。
花火大会のときからそんな経っていないが、
日が沈む時間は確実に早くなっているようだ。
バイクを押しながら、ゆっくりと一人一人探す。
牧野はおそらく、ここの海にいる。
何の根拠もないけれど、何となくそう思う。

15分くらいバイクを押しながら探していると、
夕陽が名物だというエリアからちょっと離れた
防波堤に、ぽつんと人が佇んでいるのが見えた。
牧野だった。
バイクを駐車し、防波堤にいる牧野の様子を
確認しながらゆっくりと近づいていく。
夕陽に向かってカバンと膝を抱えていていて、
じっとして微動だにしない。
やや荒めの波が防波堤に打ちつけながらも、
太陽は海と空を山吹色に染めていく。
牧野の真後ろに立って、声かけるかどうか迷っていると
俺の気配に気が付いたのか、牧野が振り返った。

「・・・え?西門さん?」
ちょっとかすれた声だけど思っていたよりも元気な声だった。
隣に移動して腰を掛ける。
「夕陽、綺麗だな。」
視線は夕陽に向けたまま、こくんと頷く。
夕陽が牧野の頬に反射しているからか、
隣にいるのに表情はわからない。
牧野は膝を抱えたままだ。
台風が過ぎ去った海は荒かったり、
波を打ち消すかのようだったりしていて、
まるで牧野の心の内を表しているような気がした。
何を話すわけでもなく、夕陽が沈むのを見守る。

「陽が・・沈んちゃった。」
最後の光が海へと戻り、月が輝き始めると、
漸く牧野が話し始めた。
「道明寺・・・、婚約したね。
素敵な婚約者と一緒の写真だったけど、
なんか、久しぶりに会えた気がした。
随分、・・・大人っぽくなってたな。
あのクルクルヘアスタイルは変わらなかったけど。」
クスクスと思い出し笑いをして、懐かしむ。
いつものように、何事も無かったように。
「N.Y.で頑張っているみたいだし、よかったよ。
応援しなきゃね。」

わかんねぇ。
わからなくはねぇ。
でも、わかりたくねぇ。
無理して笑うなよ。
自分の気持ちを押し殺して何になる?
そんなに器用なヤツじゃなかっただろ?
これ以上そんなことしていたら、心を壊しちまう。
烏滸がましいけれど救ってやりたい。
お前を見えない檻から自由にしてやりたい。


「お前さ、もうそろそろ自分を解放してやれ。」
波の音が一瞬消えると牧野はポカンとした顔で、
やっと大きな瞳を俺に向けた。





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Comment 2

河杜 花

Re: タイトルなし

みわちゃんサマ

コメントありがとうございます!
そうなんですよ~。
このあとの絡みが書きたくて2章を書いてました。うふ♪
つくしちゃんは十分がんばったと思います☆

見てみぬふりしている総ちゃんと
超鈍感娘のつくしちゃん。
少しずつ・・・の予定です♪

2016/10/12(Wed) 22:48

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河杜 花

Re: タイトルなし

Gipサマ

でしょ~?
もう、早くって感じです(笑)

うんうん。わかります。
なぜか海なんですよね~。
2時間ドラマも崖か海ですもの!←話ずれているw
勝手なイメージだけど、総ちゃんは山より海が似合う気がするの。
なんでだろう?

2016/10/12(Wed) 22:58

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