第3章 林檎[5]
総二郎side


「今日も牧野に逃げられたぞ。」
あきらが苦虫を潰しながら戻ってきた。
大学が始まってからの法学部の講義はなかなかハードらしく、
なかなかラウンジに来れなくなっていた。
そんな忙しい合間を縫って、類もあきらも顔を覗かせていく。
二人とも牧野が来るのを待っているのだ。
類とあきらが帰国してから初めて三人集まったラウンジ。
あきらが牧野を迎えに行っている間の類は、
残った俺と会話をしようとせず、ずっと寝ている。
いや、あれは寝たふりだな。


あきらが戻ってくる途中、女子学生達が
牧野について色々言っているのを耳に挿んだと言う。
その女子学生達に声を掛け、有頂天になった女共から
「道明寺司の恋人でもない女がラウンジに出入りすべきではない」と、
一部の女子学生達から抗議されたと
得意気にペラペラ話してくれたそうだ。
「だから牧野はもうラウンジにくるつもりはないかもしれないな。」
高校の頃から心ない言葉を浴びてきたからか、
俺たちに迷惑掛けてはいけないと口癖のように
言っていた牧野。
牧野の性格からして、当面はラウンジに近寄りさえしないだろう。
秋になって陽が沈むのが早く感じる様になったラウンジは、
牧野がいないと言うだけで寒く感じてしまう。


「ねえ。ちょっと聞いておきたいんだけどさ。
あきらと総二郎って、牧野の事、どう思ってるの?」
寝たふりしていたはずの類が、
いつの間にか起き上がって椅子に座っている。
「俺は牧野が好きだよ。これからは遠慮なく行動する。
そして必ず射止めるよ。」
あまりにも突飛な発言に見えるが、
類は考えも無しに発言する奴ではない。
いつになく類の真剣な目が、本気なのだと物語っている。
あきらは椅子に座り軽く息を吐くと、脚を組んだ。

「類は相変わらず自分に素直で単刀直入だな。
こっちのタイミングも考えてくれよ。」
そう言ったあきらにいつもの笑顔はない。
「類、総二郎。俺は牧野が好きだ。牧野の隣には俺が立つ。」
なんなんだ・・・。
類がいつか宣言してくるのは予想していたが、まさかあきらまで・・・。

そして二人の視線が否応なく俺に注がれる。
「で?総二郎は違うの?」
類の奴、容赦ねえな・・・。
この二人に誤魔化しは効かねえしな・・。
自分の気持ちの整理がつかない状態には違いないが、
俺の正直な気持ちを二人に伝えるべきだと思った。
「俺は・・・。牧野を好きなんだと思う。」


無表情ながらも冷たさを感じる視線の類。
全てを悟っていた様な態度のあきら。
それぞれ三人が放つ空気の温度が、
交わるどころかあまりにも異なっていた。
そして時間が止まったかの様に、
誰も動かなかった。





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Comment 2

河杜 花

Re: 三竦みキタ♪───O(≧∇≦)O────♪

haruwoサマ


でしょ?
この3人の話し合い、とても時間かかったよ~。
なんども書き直して、こうなっちゃいました。
その割にはたいしたことないけどw

さて、間の手はどうなりますやら・・・。

2016/11/17(Thu) 01:22

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河杜 花

Re: タイトルなし

Gipサマ



Gipサマ、そうなんですよ。
「・・・なんだと思う。」ってなんだよってw
一歩前進したのは間違いはない!

でも、まだこの後の展開をきめてなくって
どうしようってノープラン状態(爆)なので、
早くしないとF2も猛攻撃してくる気配をちらつかせて
総ちゃんをあおってしまおうかと・・・。
そのほうが面白いかな~。
ぐふふふ~♡ 

By悪魔の囁き

2016/11/17(Thu) 17:34

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